平成26年12月4日(木)、メルパルク京都にて『第2回事業継続オープンセミナー「社長の決断 M&Aによる親族外承継」』を開催しました。
多くの中小企業が事業承継の時期を迎えている中、今回のセミナーの対象は、近年増加傾向にある「親族外承継」(親族以外の従業員や第三者が会社の経営を引き継ぐこと)に関心をもつ中小企業・小規模事業経営者の方で、当日は約40名の方にご参加をいただきました。「親族外承継」の中でも、特に、M&Aと事業承継ファンドという2つの方法をご紹介しました。
以下、当日のプログラムに沿って、セミナーの概要をご紹介いたします。
1.開会のご挨拶
まずは、京都中小企業事業継続・創生支援センター長の枩田(まつだ)より、近年、企業の休廃業・解散が25,000件前後、倒産件数が10,000件前後で推移している状況であること、また、京都府の後継者不在率が70.9%で全国平均の65.4%を上回る状況であることを紹介し、京都府内での事業承継対策が喫緊の課題である旨をご説明させていただきました。
また、当センターが取り組んでいる事業承継対策として、
- ・後継者不足に悩む経営者向けの「オープンセミナー」・「特別相談デー」の実施
- ・事業承継関連の支援情報を提供するポータルサイト「京都起業・承継ナビ」の運営
- ・経営者と後継者を結びつける「後継者マッチング事業」の開催
など、各種事業の概要や今後の開催予定等についてご説明させていただきました。
2.講演:「地域金融機関によるM&Aを活用した親族外承継について」
続いて、京都銀行営業支援部 地域密着型金融推進室調査役の林良介様より、「地域金融機関によるM&Aを活用した親族外承継について」というテーマでご講演をいただきました。
ご講演では、「M&Aは企業同士のマッチングであり、その手法や形態は多種多様である」という旨のお話を、結婚の相手探しに例えながらわかりやすくご説明いただきました。まず、中小企業の事業承継・後継者問題の実態や、その解決手段としてのM&Aの増加要因、M&Aについてのよくある疑問について、業務でのM&A案件のご経験に基づく幅広い知見を交えてご説明いただきました。次に、M&Aの事例紹介として、譲渡企業と譲受企業の事業内容や売上高・所在エリアを紹介しながら、どのようなニーズ・経営課題があってM&Aという選択に至ったのか、また、どのようなスケジュールでM&Aが行われたのかについて、5つのM&A事例をもとにわかりやすくご説明いただきました。事例を踏まえて、京都銀行でのM&A支援の取り組みについて、日経新聞の記事や、M&A支援の組織・役割図、資本提携の各種方法、M&Aの成約実績、成約案件の譲渡理由別・業績別・エリア別の特徴など、さまざまな観点からご紹介をいただきました。
3.講演:「具体例で学ぶ 役員・社員への親族外承継の手法 ~事業承継ファンドの活用例~」
さらに、日本プライベートエクイティ株式会社 代表取締役の法田 真一様より、「具体例で学ぶ 役員・社員への親族外承継の手法 ~事業承継ファンドの活用例~」というテーマでご講演をいただきました。
ご講演では、「事業承継ファンドを活用することで、企業の自立と存続を図っていただきたい」という旨をお話いただきました。まず、事業承継の重要性や事業承継のさまざまな面(例:誰にでも相談できる話ではない、専門的な知識が必要になるなど)での難しさについてお話いただくとともに、参加者の皆様に質問を投げかけながら、ご自身の会社での事業承継を行うということを具体的にイメージできるお話をいただきました。次に、親族外承継における事業承継ファンドの活用について、ファンドのしくみや出資の概要、ファンドを活用した親族外承継のパターン、ファンドの方針や投資実行までのフェーズ、親族内承継でのトラブル事例に基づく事業承継ファンドによる問題解決の可能性について、ご説明いただきました。さらに、事業承継ファンドによる投資事例を、支援投資先の問題の背景や、ステークホルダーの関係図、事業承継問題のポイントについて紹介しながら、事業承継ファンドによる問題解決方法をご紹介いただくとともに、事業承継ファンドの活用メリットや、円滑な親族外承継の実現に必要なポイントについてご説明をいただきました。
*おわりに
京都中小企業事業継続・創生支援センターでは、これからも事業承継問題解決に向けて様々なセミナーやマッチングイベントを開催予定です。今後の事業承継対策事業の開催概要・予定については、ぜひ『京都起業・承継ナビ』をご覧ください。