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「外部人材活用セミナー&マッチング交流会」開催レポート

2024年11月26日(水)、京都経済センターにて「外部人材活用セミナー&マッチング交流会」が開催されました。
このイベントは2部構成で、第1部では外部人材を受け入れている府内中小企業と外部人材を提供している大企業の担当者によるセミナーが、第2部ではマッチング交流会が行われました。
本記事では、会場とオンラインのハイブリッド形式で行われたセミナーの内容をご紹介します。

セミナーの登壇者は、株式会社ウエダ本社経営企画アシスタントリーダー 森島啓太様、株式会社淡交社総務局総務部副部長 伊藤英起様、株式会社RUTILEA管理部人事 松軒希様、ライオン株式会社人材開発センターキャリア開発グループの青木陽菜様の4名です。
森島様、伊藤様、松軒様は外部人材を受け入れた企業の立場から、青木様には副業人材を送り出している企業の立場から、外部人材の活用が与える影響などについて話をしていただきました。

まずは、それぞれの受入企業の事業並びにどのような人材を受け入れたかについて、森島様、伊藤様、松軒様からご紹介いただきました。

株式会社ウエダ本社は、「働く環境の総合商社」として、オフィスを始めとする働く環境について、ハードだけではなくソフトの面も考え整えていくことを事業とされています。最近はワークバリュー、働きがいを感じられる労働環境整備のサポートを中心とした事業を行っており、そのひとつである「utena works」事業に外部人材を1年以上、レンタル移籍という形で活用されています。

株式会社淡交社は、茶道美術関連書籍を中心に手がけている出版社です。出版のほか、物販、カルチャー教室運営などの文化事業などを行っています。
茶道に関する事業の統合や新規立ち上げを行い、顧客層を広げるためのリーダー的存在として、外部人材を約2年間、レンタル移籍という形で活用されています。

株式会社RUTILEAは、AI開発等を行っている京都のスタートアップで、エンジニアの半分以上が外国籍の国際色豊かな企業です。
外部人材は、昨年の交流会でマッチングを実現。副業という形で月20時間弱、完全リモートで受け入れ、上場準備のサポートや実務上の相談相手として、半年程度受け入れられています。

続いて、青木様からは人材を送り出す企業としての状況の紹介がありました。
ライオン株式会社は創業132年を迎える大手の生活用品会社です。2019年に、企業が成長していくためには従業員一人ひとりの自己成長が欠かせないと「ライオン流働きがい改革」を掲げ、その一環として副業制度を導入されました。社外で自分の能力を試し、社外で良い刺激を受けて成長していってほしいという狙いがこの制度には込められているそうです。

登壇者の企業紹介などが終了し、質疑応答に移りました。今回のセミナーは会場参加だけでなく、オンライン配信もされていたため、オンラインでの参加者からも多くの質問が出てきました。

受入企業に対しては、副業人材を選ぶ際に面接で重視したこと、社内の受け入れ体制の構築方法や、副業人材を受け入れた後に起きた変化などについての質問がありました。特に印象的だったのは、「外部人材が若手社員のロールモデルになってくれた」「外部人材の目を通して、自分たち中小企業の強みに改めて気づいた」などのご回答です。外部人材の受け入れには、単なる人材不足をカバーする以上のメリットがあることが感じられました。

送り出す企業に対しては、副業人材を送り出すことで本人のキャリアにどのような影響があるのか、会社にどのようなフィードバックがあるのか、人事評価に影響はあるのかなどの質問がありました。回答は、「社員と経営者の距離感が近い中小企業で仕事をすることで、経営者の視座を学べたという声があった」など、本人が学びを得て、本業に役立った様子が伺えるものでした。

登壇者4名から参加者へのメッセージを持って、1部のセミナーは終了。2部では、人材の送出大企業13社と受入府内中小企業13社によるマッチング交流会が行われました。それぞれの企業同士が20分間の面談を5回繰り返し、会場は熱気に包まれるとともにさまざまなご縁が生まれる場になりました。ご登壇・ご参加いただき、誠にありがとうございました。

■第1部の登壇者のみなさまのメッセージ

森島様「副業で来てくれた方が自律的に動いてくれる方で、予想以上に多様な提案をしていただき社内にも良い影響がありました。これからも様々な形で人材交流を活用し、会社としても盛り上げていきたいと思っています。大企業と中小企業間で、相互で人材交流できる仕組みがあってもいいかもしれません」

伊藤様「外部人材を受け入れることで、 採用にかかるリスクやコストを下げられます。また、交流プログラムのスタッフが出向者のヒアリングを行い、フィードバックやサポートをしてくれます。実際に活用してみて、弊社では大きなプラスがある制度であるとみなさまにお伝えしたいです」

松軒様「課題を共有でき、相談できる相手を得られるのが外部人材の大きなメリットです。社外で副業しようと考える人は考え方も前向きでチャレンジ精神を持っている人なので、そういう人からのサポートを得られたことは非常にありがたい経験でした。みなさんにもぜひ、同じような経験をしていただけたらと思います」

青木様「弊社の人材が、何かみなさまのお役に立てればとてもうれしく思います。求める人材像がはっきりしておらず、なんとなく課題感を抱えている状態でも、お気軽にご相談ください。 最初のご相談から実際の人材活用に至るまでに、人材活用の形が変わることはよくある話しです。まずは弊社の人材とカジュアルにお話ししていただければと思います」

終了後のアンケート結果では、中小企業からは「人材活用における選択肢がいろいろあることが分かった。」、「大企業から人材活用に対するアドバイスをいただき、可能性を感じた。」等の声が聞かれました。一方、大企業からは「受け入れいただける企業候補と出会えた。」、「中小企業の人材ニーズを具体的に聞くことができ、人材の活躍場所の可能性を知ることができた。」等の声が聞かれました。

当拠点では、今回の交流会で得たネットワークをさらに深め、今後とも中小企業の人材確保を支援するため、中小企業と大企業との人材マッチングに努めていく所存です。